「来月の第二週目に、陸上の地区大会があるんだ。俺も出場するんだけど、陽茉ちゃん、応援しに来てくれないかな?」


「陸上の、大会……」




「あれっ、もしかして、キスとかデートとか、期待してた?」


「え、ええ⁉」





「まあ、冗談はさておき」




李世先輩は慌てる私をよそに、さらりと流すような笑みを浮かべた。


そっか、冗談だったんだ。




先輩って、心の中が分かるみたいに、私のこと、なんでも知ってるから……



私自身が気づいていないだけで、心のどこかでは、そう思っていたのかも――なんて、考えちゃった。