自然教室二日目。


今日はまず、混合グループでオリエンテーリングを行う。


場所は、バスで一時間ほどの場所にある、そこそこの高さの山。


30分も乗っていると、さっきまで目と鼻の先にあった海が、ずいぶん離れたところにあるように感じる。



「はー、それにしても、暑っ……」



梓ちゃんがだらりと座席にもたれながら、パタパタと手で仰ぐ。

バスに乗っているだけなのに、額にはうっすらと汗がにじんでいる。



「だね……」



かくいう私にも、一筋の汗が頬を伝う。


その原因は、季節にそぐわないこの服装。


虫刺されを防ぐため、もうすぐ夏だというのに、長袖長ズボンという暑苦しい格好をしなければならないのだ。

ただの虫だけじゃなくて、ヒルもいるみたいだしね……。



「そういえば、オリエンテーリングって、結局なにをするんだろうね?」

「た、確かに。グループごとに競うってことしか知らないよね」



長袖をまくりながら首をかしげる梓ちゃんに、私はうなずく。

オリエンテーリングの内容は毎年違うみたいで、こうやってギリギリまでヒミツにされる。


ワクワク感があるし、いい成績を収めるとけっこう豪華な景品がもらえるようで、過去の先輩たちの評価が高いイベントだ。


オリエンテーリング係すら、諸注意は色々と教えられるけど、肝心の内容は知らされていないらしい。