「絶対志穂はあれ選ぶと思ったのに」

いまだにぶつぶつと呟いている日向。

「日向みたかった?」

「いや、俺はこっちのほうが興味はあるけどさ」

「ならいいじゃん!それよりポップコーン買おうよ」


そういって日向の手を引っ張る。



フードの列もだいぶすごくて店員さんがとても忙しそうだ。


「何味にする?・・・あ、せーので言おう」

日向のこの顔。

ちょっと面白がってて、でも絶対にわかっているやつだ。


「せーの「「キャラメル!」」」


声が重なった瞬間、謎のハイタッチ。

映画館のフード列でこんな風にハイタッチをしている人が他にいるだろうか。

きっといない。