朝ご飯を食べ終え、私の食べた食器と黒岩さんの食べた食器を片付ける。片付けが終わった頃、「じゃあ俺はそろそろ出勤します」と黒岩さんはかばんを手にしていた。私は少し驚いて、「待ってください!」と黒岩さんの手を掴む。

「あの、私、どうしたらいいんですか?圭さんに監禁されている間に家も何もかも失ってしまって……。圭さんを逮捕してくれるんですか?」

不安になり、手が少し震えてしまう。家も仕事も失ってしまった私には、今帰れる場所がない。

「そんな顔しないでください」

優しく手を頭に乗せられる。黒岩さんは優しい笑顔を浮かべていた。誰もがきっとその笑顔を見ると安心してしまうような素敵な笑顔だ……。私の心もどんどん落ち着いていくのがわかる。

「とりあえず、若菜さんはこの家にいてください。呼び鈴が鳴ったり、電話が鳴っても出なくて大丈夫です。若菜さんが嘘をついているとは思えないんですが、監禁されていたという証拠がありません。それを一つずつ調べて紫水圭を容疑者として拘束します。それまでしばらくここにいてください」