少し話しませんか?
と夜遅くに突然来るLINE。

珍しいけどいいよ、何話す?

1度も部屋の天井に目を向け大きく見開いて、眠気を少しだけ我慢し、また1人寂しく携帯の不自然な光が溢れる画面に目を向ける。私、彼氏出来たの。一瞬で眠気が吹き飛ぶ音無しの目覚まし。


そうなんだ、この前言ってた男の子?




この前カフェで違う子と手を繋いでたあの、そう打って少し考えた後、文を自分の心の辛さをも隠すように消していく。

うん、そうだよ、今日告白してくれたの。

珍しく用事の内容も伝えずに一人で帰ってって言われたのはそういう理由か。

そっか、好きって言ってたから良かったね。

また1つ嘘を吸う。




京治も応援してくれてありがとう。
京治も早くいい人見つけて幸せになってね。

         コボ
はぁ、深くため息を零し窓から自然な月の光を見る。
今夜は満月で月が綺麗だ、切るに切れないいわゆる腐れ縁、通称幼なじみ。幼少期から知り合いで血も繋がっていず何も知らないのに私たち、家族みたいだねって。





今思えばこの時から遠回しに俺の気持ちには答えるつもりはないと言われていたのだろうか。
幾度となく考えたあなたと月を褒める想像。
いつ言おう、どこで言おう、そうして間もなく別の誰かがあなただけを
褒めていく。

この腐れ縁を恨んだことは1度もない、されど感謝したことも1度もない。





あなたがいつか話してくれたペテルギウスの話。

本当はもう無くなってるかもしれないんだよ?!神秘的で素敵だよね!!ね!京治もそう思うでしょ!?

あぁ、うん、そうだね。

あの時は君の顔に見とれていたのに今では顔は、ない涙でぼやけ、話だけが鮮明に聴こえてくる。

あの話のように俺のあなたへの気持ちは遠い昔から消えてるのかな。

でも遠すぎて消えたことを確認するのに時間がかかるのかな。そうして俺の中の大きな自然の光は突然消えた。余韻も何も無く。





そして7分前とはちがう気持ちで部屋の天井をみつめ大きく目を見開く。
今度は涙が溢れないように。数年間の楽しい思い出をありがとう。
幸せな片想いをさせてくれてありがとう。
俺を見てくれなくて、ありがとう…。大きく呼吸をし目を瞑る。





だがあなたへの大きな気持ちはやがて器から溢れ、あなたに掛けたかった褒め言葉もやがて漏れ出て、涙の副作用として止まらなくなる。
高校2年生の秋、俺は長年の片思いに終止符を打った。
そして俺は、

そうだね、見つかってほしいよ(笑)まあ幸せにね、おやすみ。

そうあなたに送る。ああ、また俺は1つあなたに嘘を吐いた。






今度はちゃんと、二度と吸うことがないように、大きく大きく吐いた。





そしてまぶたを閉じ溢れた思いを噛み締めながら一筋、本当の涙を流した。



心にはいつまでも月下美人が咲き誇る。むしってもむしっても無くならない1本だけの思い出。あなたが私にくれた最初の贈り物。







花言葉は…

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