「お客さーん。お客さーん」 誰かに肩を叩かれたような気がして、そっと目を開ける。 「ん……」 「お客さん、終点ですよ」 困った顔で私を見る車掌さん。 「わっ、すみません」 慌てて電車を降りる。 終点ってどんだけ来ちゃったんだろ。 軽く三時間は超えてるよね。 「あれ……」 碧斗がいない。 寝ている私を置いて、勝手に帰った? なんで……? 結婚式に行って、もうカレカノじゃないから? でも電車の中では普通だったよね? なんで?