あれ?
「…じゃ、あれ、だれ――?」
 湖岸の花火。
「みんな同じこと考えてんだからさ。外に出さないなんてナンセンスだよな」
 この声は恭太!?
「ばかなこと言ってなさい! 夜中におぼれ死ぬバカとか出たら一大事だからでしょうよ。そんなこともわかんないの? ――来なさい。帰るのよ、みんな」
「おまえは、母ちゃんか」
「恭太!」
「しぃー」「しぃー」「しぃー」
 わかったわよ。
 声は出さない。
 だからって……んもう。
 これだから男子は。
 だいたい、ひとの背中を押すのは――だれ?
「シューコ! こっちこっち」
「掛居ぃぃぃぃ」
「せっかく来たんだから、どうなるか最後まで見ていきなよ、シューコも」
 んもう。
 学年一の秀才くん。
 あなたってばどうしていつも止める側にまわってくれないの?

 ヒュン!

 耳を刺す異音。
「おおぅ!」
 まわりの男子から異口同音にあがるのは感嘆。
 打ち上げ花火だ。

 ッパ――ン!

 夜空に咲く光の花。