6人で廊下いっぱいに広がって、岡本のナンパ術講義にはしゃいでいると、エレベーターホールで偶然出会った子たちも合流。
 女子が10人にもなると男子はもう近づかない。
 にぎやかさも加速してくるなかエレベーターのドアが静かに開いて。
 一瞬、ホールに満ちた静寂。
「キャ――ッ!」
 そこから上がった悲鳴みたいな女子の声に。
 らしくもなくエレベーターのなかで掛居が硬直していた。
「な…んだ、なんだ?」
「キャー」「いやぁぁ」
 叫びながら背中をバンバン叩いてくる子たちに押されて、つんのめるように前に出る。
「あらら。シューコ」
 なにをのんきな。
 ちょっと痛い! だれ?
 叩かないでぇぇ。
「おっと」掛居が閉まりかけたドアを手で押さえる。
「なぁに? みんな乗るの?」
「きゃーっ!」「きゃーっ」
 うるさーい!
 掛居は実は恭太より女子に人気だ。
 ただカレシにしたいとはみんな思わないらしい。
 自分よりキレイな子がカレシなんて、ジョーダンじゃないものね。
 なのになんで?
 なんで、わたしに押しつけるのよ。
 おもしろがるのは、やめなさ――い!
「も、みんな、さっさと乗って!」
 掛居の代わりに操作盤前に乗りこもうとすると、うしろからトレーナーの襟首をつかまれた。