「このバカ……っ、いきなり前に飛び出す奴があるか!!
痛いところは?」
「な、ないです」
答えると、朱ちゃんがホッとした顔で私を見た後、すぐに目から光を消して、真っ黒い表情で男を見る。
「いい加減帰らないと、俺もそろそろブチギレそうなんだけど」
「はあ?そっちがでしゃばって、」
「あ?」
「ひぃ……っ」
聞いたことない朱ちゃんのドスの効いた声に男が怯んで、「チッ……」と舌打ちをしては、縮こまった背中を見せて去っていった。
まだ、心臓がドキドキ鳴ってる。
怖かった……。
「優。お前なに喧嘩に入ってきてるの?」
「だ、だって」
「『だって』じゃない。
怪我でもしたらどうすんだ。
どんなに人が困った状況であっても、危険なところに首突っ込むの禁止。
俺の心臓がとまるわ」
「でもでも、もしかしたら朱ちゃんが殴られてたかもしれないし……」
「あーのーなー、俺はあんなのいくらでも躱せるつーの。
それに当たってたとしても、女のお前とは違って多少の怪我くらいどうってことねーよ。」
「……こめんなさい」



