「おい、女相手に怒鳴るなよ。
怖がってるだろ?」
庇うように朱ちゃんが女の先輩の前に立つ。
「はあ?お前に関係ねーだろ!」
「まあ、無いけど。
見た以上は見過ごせない性分なんだね。
どうでもいいけど、しつこい男は嫌われるからそろそろ諦めて帰れよ。な?」
「んだと……っ!」
朱ちゃんの言葉に余計怒りを爆発させる男が、拳を握り始めるから
オロオロと見ていただけの私もさすがにマズイと思って、朱ちゃんの前に立つ。
「あっ、朱ちゃん危ない……っ」
「なっ……優!?」
勢いよく飛び出したはいいけど、頭が真っ白で何も考えてなかった。
男の拳が振り下ろされた瞬間、「ひっ」と情けない声をあげながら、目をおもいきりギュッと瞑ると。
グイッと後ろから引っ張られる。
痛みがやってこないことに、止めていた息ごと解放して目を開けると、朱ちゃんが私の頬をがっちり掴んで今まで見たことない怖い顔をしていた。



