人通りのある道端で、人の目も気にせず揉めている男女。
男の人が手を空に向け、振り下ろそうとした時女の人が反射的に目を瞑る。
振り下ろされた瞬間、「あっ!」と思わず声を漏らすと男の手首を掴んで止めたのは朱ちゃんだった。
「こら、女の子に手を上げるんじゃねーよ。」
いつの間にか割って入る朱ちゃんに、二人は驚いていた。
「だ、誰だテメェ……」
「いや通りすがりの……って、あれ、あんた隣のクラスの子じゃね?」
男の質問に答える前に、朱ちゃんは女の人の顔を見てハッとしていた。
女の人は私達と同じ制服を着ていて、どうやら顔見知りらしい。
怯えた表情で朱ちゃんの顔を見ていた。
「あっ……京堂くん」
「なに、修羅場?
コイツあんたの恋人だよな?」
「……いや、その別れて」
「俺は別れたつもりねーよ!!」
「……っ」
男の怒鳴り声に、完全に怯む先輩はカタカタと震えていた。



