朱ちゃんの体温を感じながら、手を繋いで連れてこられた場所は小さい頃よく行っていた駄菓子屋さんだった。
色褪せて見た目も雰囲気も少しだけ古くなった駄菓子屋さんは相変わらずお婆ちゃんがお茶をすすりながら店番していて、懐かしさにホッとしちゃう。
「ほら、優乃。
このアイス、お前好きだろ?」
文字が消えかかっている冷凍ショーケースから私の好きなイチゴ味のアイスを取り出した朱ちゃん。
「懐かしい!それもうどこにも売ってないと思ってた!!」
「お前よくこれ食ってたもんな~」
「朱ちゃんが食べてたから真似して買ってたけど……いつの間にか好きになってたの」
「確かに昔はヒヨコみたいに俺のあとついて回ってたもんな。
可愛いヒヨコだこと。」
「も、もう!昔のことはいいでしょ!!
子供扱いしないでっ」
「子供扱いしてたら彼女になんかしませんけど」
「……っ」
「はい、俺の勝ち。
つーわけで、アイス買ってやんよ。
好きだもんな優乃、俺とこのアイスのこと」
「朱ちゃんってば、からかわないでよ~」



