「優乃ちゃん、もしかして怒ですか~?」
静かな住宅地とはいえ、人に見られているかもしれない帰り道で、フニッと頬を軽くつまんでくる朱ちゃんはいつまで経っても私への子供扱いがなくならない。
「かわいーけど、俺が本当に優しいのはお前だけだっていつになったら分かってくれるんだろうね」
「朱ちゃんは皆に優しいもん……そ、そんな朱ちゃんが好きだけど」
特別がほしいなって思うよ?
でもこうして隣にいるだけで、もうすでに特別なんだろうけど。
彼女だけの、何かが欲しいの。
幼馴染みの時とは違う、別の何かが。
どんどん欲張りになってしまう自分の頬をペチペチと軽く叩くと、それを見ていた朱ちゃんが「寄り道すっか」と私の手を引っ張る。
「どこ行くの??」
「優乃が好きなもん買ってあげる。」
「プリン!」
「ハズレー、まあプリンでもいいけど。」



