怒った女子生徒の集団が皐月先輩を囲い始める。
「いや、あの……すみませんでした!!」と、たじたじになる皐月先輩に騒ぎは任せて、朱ちゃんが体育館から出ていく。
私も急いで階段からおりて、体育館から出ると待っていた朱ちゃんと学校から出た。
「もう、騒ぎになってるって聞いて驚いたんだよ?」
私の歩幅に合わせてくれる朱ちゃんの顔を覗きながら言う。
「皐月は俺の事目の敵にしてるからなー。今に始まったことじゃないし?」
「というか朱ちゃんってば、やっぱり遊び人だったの??」
「は?」
「だ、だって喧嘩の原因って皐月先輩の彼女が朱ちゃんのこと好きになったからでしょ??
彼女さんになにしたの??」
「別になにもしてないけど。」
「ほ、ほんと?」
「信用ないね俺も。
してないったら、してない。
したとしても、挨拶かお喋りか、重いもん持ってあげたとか、そのくらいだろ」
「……朱ちゃんそういうとこだよ」
「どういうことだよ」
「教えてあげない……」
朱ちゃんみたいなカッコいい人、目が合っただけでも好きになっちゃうかもしれないのに……。
それに、さっきだって咄嗟にとはいえ女の子抱き締めて守ってたし。
仕方ない状況だって分かっていてもモヤモヤしちゃう。
やっと恋人になれたのに~。
早速嫉妬しちゃう私って、いつまで経っても余裕がないよね……。



