朱ちゃんが口をパクパクさせながら、指で体育館の玄関を指差してる。
多分外に出ろってことなのかな?と、指で輪っかを作って返事をした。
すると。
「逃げんな京堂!」と、後ろから皐月先輩が投げたボールが、避けた朱ちゃんではなく観戦していた女子生徒に目掛けて一直線に向かう。
「きゃっ……!」と小さな悲鳴が聞こえてきた。
それにいち早く反応した、朱ちゃんが女子生徒の腕を引っ張り、咄嗟に抱き締めて守った。
「あっぶな……。
おい、大丈夫か?」
「ひゃ、ひゃい……」
「悪いな、俺が避けたせいで」
にっこり笑う朱ちゃんに、守られた女子生徒だけじゃない、見ていた他の子たちも「きゃーーー!!」と黄色い声をあげるから、耳が死んじゃうかと思った。
「あ、朱光君ほんと推せる……っ」
「いいな~、私も抱き締められたい~」
「助け方もかっこいい、無理。
……それに比べて皐月!あんた後ろからなんて卑怯よ!!」



