魔王のように笑う皐月先輩は、バスケ部なのに思いやりがない。
「ちょっと皐月ー、あんたバスケ部なんだから少しは手加減しなさいよー」
「朱光君も皐月なんか相手にしなければいいのに」
完全に朱ちゃんの味方である女の先輩達は野次を飛ばして、コート内にいる二人を見ていた。
でも。
1対1なら大丈夫だよ。
だって朱ちゃんは……。
「はーい、俺の勝ち~」
さっさとドリブルで皐月先輩を抜いた朱ちゃんが、お手本の様にボールを投げてシュートを決める。
多分10秒もかかっていない。
朱ちゃんは中学の頃バスケ部だったから、経験者だし、たまに放課後も桜木さん達と公園のコートでバスケしてるの知ってたから、感覚も鈍ってないと思うんだ。
完全に不意を突かれた皐月先輩は、驚きで呆然としていた。
「点取ったら俺の勝ちでいいんだよな?
帰っていい??」
「なっ……!!テメェ、バスケ得意だなんて聞いてないぞ!!」
「そりゃあ言ってないし。
つか、マジでそろそろ帰らねーと」
不機嫌MAXの皐月先輩を余所に、めんどくさそうな朱ちゃんが不意に二階を見るからバチッと目が合った。



