青薔薇の至愛





放課後、特にこれといって用事もなければ、朱ちゃんと帰る約束をしているわけでもない。


握ったままの携帯に、恋人からの連絡もないから、少しだけしょぼくれていると。



「ねぇねぇ、朱光君がバスケ部から呼び出しくらったらしいよ」


「えー、なんで?」


「さぁ?よく分かんないけど、朱光君がバスケ部の皐月(さつき)の彼女を弄んだって聞いたけど……」


「皐月って確か朱光君のこと日頃から敵視してるよね?それって言いがかりじゃないの?」


「まあ詳しいことは分かんないけど、体育館で騒ぎが起きてるらしいか見に行こうよ。 
 朱光君の顔見に」


「あんたイケメン見たいだけじゃん」



大きな声で話しながら、女の先輩がバタバタと廊下を走って私の前を通りすぎていく。



あの先輩たち、朱ちゃんの話してたよね……?



バスケ部の彼女を弄んだって聞こえたけど……聞き間違え?


朱ちゃんが、他の女の人と……?