「優乃」
「あ、朱ちゃん?!」
「帰るぞ」
有無を言わさない朱ちゃんが、私の手を強引に引っ張り早足になるから、視界からその場に取り残されたペットボトルと藤永君の姿がどんどん遠ざかる。
朱ちゃんは桜木さん達に「悪いね、俺優連れて帰るわ。」と言いながら私と自分の荷物を取る。
いつもと違う朱ちゃんの冷たい雰囲気に、怯えながら芽愛ちゃん達に視線を送るけど。
「修羅場じゃん!!きゃー!!これってラブの予感?」
「優乃ちゃんガンバー」
と、他人事の二人はキャッキャッと、何やら楽しそうに私に手を振っていた。
ひ、ひどい。
友達なら助けてよーーーー!!
「あ、朱ちゃん手放して……?」
「……」
「放す気ないなら、もう少しゆっくり歩いてくれると嬉しいな~、あは……は」
「……」



