どこか寂しそうな朱ちゃんの表情に、キュンっと胸が鳴る。
……違う違う違う、騙されるな優乃。
私たちは幼馴染みであって、それ以上でもそれ以下でもない関係なんだから。
「へい朱光、次お前が投げる番だよ?」
ヌッと幽霊のようにいきなり現れた桜木さんに、この場にいる三人が驚く。
「優も連れてっちゃ駄目?桜木さん」
「駄目に決まってるでしょ。
優乃ちゃんは今、朱光以外の男とよろしくやってんだから」
「……」
「朱光以外の男とね」
「なぜ二回言った。」
「はいはい、どーでもいいけど行こうか朱ちゃんよ~。」と、私にベッタリな朱ちゃんの首根っこを掴んでズルズルと引きずり戻っていく桜木さん。
「……もしかして、彼氏?」
「えっ?!違う違う!!
私振られてるもん」
「とてもそうには見えないけど……。
完全にヤキモチじゃない?あれ」
「へ?」
「あ、いや。なんでもない。」



