「やっぱり、朱ちゃんは私の事妹としてしか見てなかったんだ~!!
 朱ちゃんがなに考えてるかわかんないよ~」


昨日の事を思い出して、我慢できずにこんどは私が大声をだすから、オロオロと狼狽えはじめる芽愛ちゃん。


すると。




「優乃ちゃん、傷心中?
 もしかして"朱ちゃん"に振られたの??」


突然、上から言葉が降ってきて、涙目で横を見ると
桜木さんがいるから驚いて三回お目々をパチクリさせてしまう。



「さ、さ、さ、」


「なーに、人を化け物を見る様な目で見て。」



桜木さんの予期せぬ登場に、芽愛ちゃんも葉純ちゃんも持っていた教科書を落とす、そのくらい三人ともパニックになっちゃってるのに、桜木さんはどうでもよさそうに話を続ける。



「はいこれ、朱光から。」


私の見慣れたお弁当箱が机に置かれる。



「あ、あの、どうして桜木さんが持って……?」


「朱光にしつこく頼まれてねぇ。
 『優乃が弁当箱忘れてるみたいだから届けてください、恐竜さん』って。
 どうして俺が恐竜なのかはよく分かんないけど、朱光はアホだから聞き逃しといてあげたよ。
 優しいでしょ……俺って」


「……」


「ね?」