「あっ、京堂君と朝井さん」
合った目が合図となり、泉先輩が私達の席に早歩きでやってきた。
……手紙、まだ朱ちゃんに渡してないんだよね。
どうしよう、この状況じゃ言えないし。
勝手に気まずさを感じながら会釈すると、朱ちゃんは意外そうに泉先輩を見ていた。
「泉、大人しそうに見えてこんなチャラついた場所興味あんの?」
「チャラついたって……自分のクラスの出し物でしょ。
京堂君こそ、ホスト姿様になってるね」
「半強制的に着せられたけど。彼女いるから嫌だとは一度断ってんのよ、こう見えて」
「へぇー……そうなんだ」
朱ちゃんとの会話中、なぜかチラッと私を見る泉先輩の視線が怖くて誤魔化すようにいつの間にかテーブルに置いてあったオレンジジュースを飲む。
「あっ、朝井さん……あの、手紙。渡してくれた?」
「……っ」
まさかここで、聞かれると思わなかったから、置いた直後のコップを動揺で自分の肘にぶつけ倒してしまう。



