青薔薇の至愛



朱ちゃんに手を引かれ、内本さんと一緒に廊下を歩くと、見えてきた派手な看板とイチオシホストの写真が大きく貼られている二年生のクラスにお邪魔する。



集客はバッチリと言わんばかりの、女の人が楽しそうに教室に入っては出ていくのを見ると、なんの心配もなさそうに見えるけど……。


それでも朱ちゃんがいなくなったことで、静かになった方だと内本さんは言う。



それにしても……教室の中も文化祭にしてはクオリティーが高くて呆けてキョロキョロと見渡していると。



「あっ!テメェ京堂何しに来やがった!!
 お前は今休憩中のはずだろ?」



突然、朱ちゃんの前にズカズカとやってきたバスケ部の皐月先輩が指をさしながら言う。




「なにって……休憩する場所がないから、ここで優とたこ焼き食べに?」


「ふざけんな、お客さんが座るスペースがなくなるだろ」


「いや、内本に頼まれてきたの。
 俺がいないと客のノリも悪いみたいだし?」



勝ち誇った顔で朱ちゃんか皐月先輩に言う。


わなわなと体を震わせて、火に油を注がれた皐月先輩が内本さんを睨んだ。



「内本、お前なに勝手にこいつのこと呼んでんだよ」


「だ、だって朱光がいた朝とは違って明らかに売上がなー……。
 それに戦力となる顔のいい桜木も休んでるし、俺らだけじゃいまいち盛り上がりに欠けるだろ」


「こいつ居なくても俺がなんとかするってーの!」


「皐月、顔は爽やかだけど、なんか暑苦しいつーか、うぜぇじゃん……。
 それに比べて京堂は容姿も良ければ女の子慣れしてるから花を添えると思って教室にいるだけで集客できそうじゃん?」


「お前俺に喧嘩売ってんだろ」