朱ちゃんのグッとくるポイントって良く分からないけど、さっきまで彼氏が着ていたものを身に纏える事が嬉しくて、顔がフニャフニャと完全に溶けきった表情になっていると思う。
そんな私を見て、「可愛いね優ちゃん」と、お兄ちゃん目線にも感じる言い方でニコニコと笑う朱ちゃんの目が優しくて大好き。
数秒廊下の真ん中で、ふたりの世界に入っていると誰かが私達の間にヌッと割って入ってきた。
「朱光いたーー!!」
突然、大声をだして名を呼ぶ男人は焦った様子で朱ちゃんの肩を両手で掴む。
「おい、内本、なに俺と優の間に入ってきて……」
「文句なら後で聞く、つか今それどころじゃないってーの!!
お前が抜けてから全然客来なくてさ~、うちのクラスやべーの。
申し訳ないけど戻ってきてくんね?」
「はい?俺午前担当じゃん。
やだね、彼女との時間減るのやだー」
「そこをなんとか……!」
ーーパンッと手を合わせてお願いする、朱ちゃんのクラスメートさんは、なぜかチラッと私を見る。
「……えっと、……朱ちゃん私ひとりでも大丈夫だよ?」
「は?なに勝手に決めてんだよ、優ひとり残して行けるわけな……」
「彼女のお許しもでたことだし、いいだろ朱光!頼むよ~」
「内本……一旦黙ってほしいんだが」



