青薔薇の至愛





サラッと言われているのに、朱ちゃんの言葉にどこか熱を感じて、やっぱりズルい男の人だなって思っちゃう。



外に出ると、建物内より人の数が多く、色とりどりの屋台や軽音部の演奏で盛り上がりを見せていた。


焼きそば、たこ焼き、わたあめと、まるでお祭りメニューの屋台に並ぶと、数十分時間を渡してやっと手に入れたたこ焼きが入ってる袋を朱ちゃんが持つ。



「どこ行っても人が多そうだな。 
 文化祭は空き教室も使ってるし、どっか適当に座れる場所に移動でもするか」


言いながら、朱ちゃんが人混みにため息を吐いてベンチがある場所に足を動かすけど、空いてるベンチがない。



ベンチにはイチャコラと、ハートを浮かばせるカップルで埋め尽くされていて、朱ちゃんが少し苦笑いしていた。



「この中に入るのは、さすがにバカップルすぎてちょっと、なあ?」


「私も嫌かも……。
 朱ちゃん、私冷めると嫌だから立ったまま食べてもいいよ?」



正直朱ちゃんといられるなら、どこでもいいの。


素直にそう言うと、朱ちゃんは「駄目だ。お前の足が疲れるだろ」と相変わらずの過保護で困った。



……そのくらい、別にいいのに。