「握りたきゃ握ればいいのに。
いつからそんな遠慮するようになったんだよ」
「だ、だって……付き合ってること隠してはいないけど……朱ちゃんはいいの?私が彼女だってバレても?
彼女持ちだって分かった瞬間、女の子にモテなくなっちゃうかも」
嫉妬心で意地悪なことを言ってみると、吐いた言葉に罪悪感が表れ口がタコの様に突き出る。
さっきまで人の声でガヤガヤとうるさかったのに、急に無言になったみたいに、体の奥から聞こえてくるザワザワとした音しか聞こえてこないのは、可愛くない事を言ってしまったせい。
それでも朱ちゃんは心底気にしてないと、口角を上げて私の頭に軽く手を置いた。
「なんなの優ちゃん、やきもち?」
「……っ」
「お前って奴は、ほんと可愛いねー。
そういうこと隠さないで言っちゃうとこ、素直つーか、俺の事好きすぎじゃん」
「……じゃなきゃ告白してないもん」
「まあ、あの時の優乃は怖かったな~」
「朱ちゃん」
「うそうそ、冗談。てか、な。俺とお前が付き合ってること隠す必要なんてある?」
「……」
「優乃しか見てないのに。」
「……っ」



