桜木さんが差し出したのは、私が嫌いな激辛のど飴だった。
のど飴のくせに激辛なのが意味分からなすぎて、開発者に問いたい。
そして私が辛いの苦手なの知っててあげる桜木桔梗さんは朱ちゃんのお友達。
顔が人形の様に整っていて、芸能人顔負けのスタイルに独特な雰囲気を纏っている。
何でも暴走族の総長だとか、100年は留年して実は不老不死説とか、学校では黒い噂が絶えないけど……。
朱ちゃんは同い年なのに、この人のこと桜木さんって"さん"付けで呼ぶくらい尊敬できる人みたいだから……そんなに悪い人じゃない……はず?
私は怖いから苦手だけど。
「……あり、がとうございます」
「へぇー、辛いの嫌いなのに受けとるんだ」
「!?」
「面白いね~、優乃ちゃん」



