朱ちゃんって、意外とキス魔だ。


拝みたくなるほど綺麗な顔がすぐ近くにあって、それだけで耐えられないのに、互いの唇同士がくっつくんだから、死んだっておかしくない。



「ゆう」


「……っ」


獲物を狙あう目に、名前を囁かれて。


私に覆いかぶさる朱ちゃんに手をギュッと握られる。


いつもとは違う雰囲気に言葉を失うと。



「ただいまー……!……って、あんた達なにしてるの?」



勢いよくリビングに顔を出したお母さんが、私達を見て驚いていた。


全然ドアが開く音が聞こえなくて気づかなかった。

でも、ソファから床に転げ落ちた朱ちゃんのおかげで、あの状況を親に見られずに済んだことに、ひどく安堵し何回も息を吐く。



「……ちょっと、朱光。
 あんた見る度に人の家の床に転がってるけど、次はなに?またアザラシごっこ??」


「違う違う。今回はサバゲーの練習だって。
 撃って撃って撃ちまくるぜ!ばんばんばん」


「イケメンなのに……やっぱり変よね、あんた」