ぐずぐずと泣きながら、リビングを飛び出して脱衣所に着替えに戻った。
数回深呼吸を繰り返して、リビングに戻ると、ソファに座った朱ちゃんがドライヤーを持って待機していた。
ちょこんと灰色のカーペットに座ると、朱ちゃんが私の髪を乾かす。
少しの間、無言が続いた。
気まずくて、何から話せばいいのか分からない。
そんな私の雰囲気を察してか、朱ちゃんが軽く頭を掴んできた。
「ぜんぶ見えてないから、安心しろって。な?」
「……」
「なに、優ちゃん。まだ恥ずかしいの?ん??」
恥ずかしいのは当たり前。
けど、それだけじゃない。
「朱ちゃんは、少しも意識してないんだ」
ボソッと呟くと、ドライヤーの音で搔き消されたと思っていた声を朱ちゃんはちゃんと拾っていて、チラッと横目で後ろを見ると呆けた顔をしていた。
「……なに、優は意識されないことに怒ってんの?」
「だって、余裕なんだもん。
付き合って余裕ないのは私だけ。
ドキドキしてるのも私だけみたいで、なんだかズルいよ」
「……」
言いたいことが言えるのは幼馴染みだからかな。
本当はもっと甘い関係を望んでいるのは……私だけなんだろうか。



