エリート御曹司は淫らな執愛を容赦しない～初夜に繋がる結婚事情～

「僕が嫉妬を止められないことも、愛菜さんには制限できないですね」
「馬鹿なことを」

私は吐き捨てるように言った。

「私はあなたからの好意を本物だとは思えません。理由がわからないもの」

これは半分嘘だ。優雅が私を愛しているのは伝わってくる。今、本当に嫉妬していることも。
だけど、理由がわからないのは事実。どうして私にそこまで執着しているのよ。すべて捨ててまで。

「あなたを抱けば、この気持ちが伝わるでしょうか」

優雅が腕をのばす。はしっと私の腕を掴んだ。私は、即座に振りほどく。

「あなたを一晩中抱きつぶせば、僕の気持ちは伝わるでしょうか。あなたの身体に刻み付ければ、わかるでしょうか。愛していると。あなたしかいらないと」
「やめて」

誰も来ないだろうけれど、こんなところでするやりとりじゃない。再び掴まれた手首を、ぶんぶん振って振りほどこうとするものの果たせない。

「何をしても伝わらないわ。出会った頃から、優雅のことなんてわけがわからないもの。理解できないし、この先も理解できそうもない。いい加減、私に重たい好意を向けるのをやめてよ」

優雅の表情が固まった。笑顔も何も抜け落ちた彼は、切れ長の美しい目をわずかに見開き、私を凝視していた。私の手首を戒めていた右手がするりと落ちる。

私は唇を噛みしめた。ひどいことを言ったかもしれない。