真由乃との電話を終え、すぐさま父に連絡を取った。
『どういうことよ、お父さん!』
『いやあ、ずっと話さなければと思っていたんだ、愛菜』
父は私の剣幕に困ったような声をあげている。
『左門のことはよく知っているだろう?』
『知ってるわよ』
『左門になら、愛菜を任せてもいいとずっと思っていてな』
『まずは私に話しを通すのが筋でしょう!?』
いやあ、ごもっとも、なんて言って娘の剣幕に困りながらも、父はまったく意志を曲げる気はなさそうだった。そういう人なのだ。決めたら真っ直ぐ。子煩悩の父親だけど、それでもあの地方で一番の実業家だ。
『名目上、社長は左門でも愛菜でもいい。もう一方は共同経営者と呼び連ねてもいいじゃないか。左門は婿入りしてくれるし、肩書にはこだわらないと言ってくれているんだ。愛菜の立場や資産は保障するよ。戻っておいで。きっと、おまえの良いようにするから』
父の意見はこんな感じ。
おそらく、婚約の話は私が完全に戻ってきてからするつもりだったのだろう。しかし、そこは地方の小さな社会。噂が先に広まってしまい、真由乃の口から私に伝わったのだ。
徹底抗戦しようと思えばできた。帰らない、婚約しない、東京にいる。そう言い張ればいい。
しかし、私はすでに退職した後だ。マンションの引き渡し日は明後日。ただでさえ、色々あって気力はダウン中。
私に何ができよう……。
『わかったわ、婚約の件は帰ってもう一度話し合うとして、戻ることは戻る。お父さんの会社に厄介になるのも予定通りにするわ』
父は大喜びだった。
『どういうことよ、お父さん!』
『いやあ、ずっと話さなければと思っていたんだ、愛菜』
父は私の剣幕に困ったような声をあげている。
『左門のことはよく知っているだろう?』
『知ってるわよ』
『左門になら、愛菜を任せてもいいとずっと思っていてな』
『まずは私に話しを通すのが筋でしょう!?』
いやあ、ごもっとも、なんて言って娘の剣幕に困りながらも、父はまったく意志を曲げる気はなさそうだった。そういう人なのだ。決めたら真っ直ぐ。子煩悩の父親だけど、それでもあの地方で一番の実業家だ。
『名目上、社長は左門でも愛菜でもいい。もう一方は共同経営者と呼び連ねてもいいじゃないか。左門は婿入りしてくれるし、肩書にはこだわらないと言ってくれているんだ。愛菜の立場や資産は保障するよ。戻っておいで。きっと、おまえの良いようにするから』
父の意見はこんな感じ。
おそらく、婚約の話は私が完全に戻ってきてからするつもりだったのだろう。しかし、そこは地方の小さな社会。噂が先に広まってしまい、真由乃の口から私に伝わったのだ。
徹底抗戦しようと思えばできた。帰らない、婚約しない、東京にいる。そう言い張ればいい。
しかし、私はすでに退職した後だ。マンションの引き渡し日は明後日。ただでさえ、色々あって気力はダウン中。
私に何ができよう……。
『わかったわ、婚約の件は帰ってもう一度話し合うとして、戻ることは戻る。お父さんの会社に厄介になるのも予定通りにするわ』
父は大喜びだった。



