「越水さん!これはもう意地悪ですよ。ウェディングドレスが最後なんて」
そう言ったらようやく歩みを止め、振り向いてくれた。
「そうね。ごめん。でもいい思い出になると思うの。今は着たい時に着たいドレスを着られる時代だけど、好きな人と並んで撮ることは如月さんの場合、もう二度とないと思うから」
そういえば前に越水さんには私の体のこと、恋愛に対する考え方を話していた。
だから越水さんの言い分はもっともで理解は出来るのだけれど、納得はできない。
そのまま俯き、動かずにいると越水さんはひとりの年配の男性を呼んだ。
「如月さん。こちらカメラマンの吉田さん」
「はじめまして。可愛いお嬢さん。綺麗に撮るから任せてね」
低く、しゃがれた声なのに、柔らかな話し方が尖った気持ちを鎮めてくれる。
「ここにいるスタッフはみんなプロだから。任せれば大丈夫よ」
越水さんの言葉を受けてから周りを見れば、大勢の大人が撮影のために準備を進めているのが目に入った。
「そういうことですか」


