桜司、お前は恋愛に向いてないんだよ。
相手を思いやって、寄り添って、たったそれだけで幸せで、喜んでほしくて、笑顔にしたいって心から思う。それが出来ないお前には、透子ちゃんと恋愛するのは無理だよ。
なんでも出来る王子様だけど、これに関しては、からっきしダメだね。
なんて、ろくな恋愛してない俺が言えることじゃないけど。
「そうだ。透子ちゃんのお姉さんのこと、絶対あの子には隠し通せよ」
「なんで」
「傷付くからに決まってるだろ。自分の好きな人が自分の姉と関係持ってたって知ったら、傷付くだろ」
「……ふーん」
傷付くのか。と桜司は呟いて、その退屈そうな瞳がゆらりと揺れた。
俺はこいつがいつか報われればいいと思っていた。友達だから、そう願うのが当たり前だって。
だけどもう違う。透子ちゃんと話すようになって、あの子に触れて、優しさに触れて、それだけじゃ物足りなくなった。
お前がいつまでもそんなで、あの子のこと傷付けるようならもう容赦しないよ。
透子ちゃんが自分以外の男と居る姿、想像出来ないだろ。したこともないだろ。
お前は悪いやつじゃないよ。ドライなところも白黒はっきりしているところも俺は好きだ。だから仲良くなった。かっこいいとも思う。だけど俺が欲しいと思うのは、あの子だ。
桜司が透子ちゃんを傷付ければ傷付けるほど、俺のつけ入る隙が広がるんだって、気付いていないんだろうなぁ。

