「だめ、や、やめてっ、外だし…汗かいて、るっ」
縋るようにオウくんを見る。目には涙が溜まって、視界がぼやける。日傘で太陽の光が遮られているため、オウくんの表情は薄暗い中でしか見えない。
見えないはずなのに、あまりに距離が近いから、何かの感情に囚われた瞳で私を見下ろすその様子が、とても"男の人なんだ"と思わされた。
「問題ない。汗もおいしい」
「な、何言ってるの、んんっ、や、舐めないで…っ」
「いいの?やめても」
はっ、はっ、と肩で息をする。私たちの後ろで、自転車の通る音、誰かの歩く音、それらが確かに聞こえて、泣きたくなる。
ひどい。なんでこんな。試すようなこと聞くの。ずっとオウくんに会いたかったよ。オウくんは、会いたいって思ってくれてた?
都合のいい女かな。やっぱり私は、オウくんにとっての都合のいい女なのかな。
ぶるりと鳥肌が立つ。ずっと触れられたかった。彼の指が、目尻を撫でるので、溜め込んでいた涙が流れる。
「とこ」名前を呼ばれて、柔く、親指で唇を撫ぜた。
「……い、意地悪、なこと、聞かないで」
その指を掴むと、オウくんは恍惚とした目をうっすら細めて、少しだけ口角を上げる。
この人の唇を受け入れて、控えめに口を開ける。するとすぐに舌が入り込んで、口の中全部この人に支配されてるんじゃないかと思うくらい、ぐちゃぐちゃにかき乱された。
「もう、誰にも触らせるなよ」
ぼうっと意識が覚束無い中、オウくんがそう言って、切なそうに歯を食いしばった気がした。

