あたしは考えます。

たぶんレイチェルはリアルへと目覚めつつあるのだと思う。物語から離れて。

「日本には、更級日記というものがあります。
物語は物語として必要なものです」
「たしかに」

レイチェルはトーストを齧ります。米国の議会での銃撃。コロナ。世界の対立。

まるで社会の底が抜けたような危機感をあり、それが無意識にストレスになっているのでしょう。

たとえコロナが今後終息するとしても、です。

あたしはそれからしばらく休むとトマトハウスを掃除をします。古い館には歴史が積み重なり、その重みが安堵をもたらすようでした。