「あっ、直禾ちゃんだ。挨拶運動、お疲れ様」

『直禾ちゃん?!』


ハモった...。

櫻庭と

ハモった...?!

私は思わず顔を真横に向けた。

やつもこっちをきりっと睨んでいた。


「どうしたの?」

「あ、いや、な、なんでもないです!」

「なんでもなくないだろ。なんで、鷲尾のこと直禾ちゃんなんて呼ぶわけ?」


櫻庭が私の疑問をそのまま口にした。

深い共感から頭をこくこくと上下に動かしてしまった。

しかし、天羽くんは顔色1つ変えず、口を動かした。


「だって、いい名前じゃん。呼んであげないと勿体ないよ」

「あ、あのあの、そのぉ...ありがとうございます。いい名前なんて言われたことないので、この上なく嬉しいです。で、でで、では私はこれで...」


そう言って去ってきた。

逃げなければ心臓が持たなかっただろう。

そのまま発作を起こして心停止してあの世行きだったと思う。

それを免れたのだから良かったんだ。