八木澤くんは不器用に想う




先にクジを引いた安木から、いつもの調子で紙を奪って、番号を知る。



……30番。



一番後ろの席だから、前後左右どこかを取ろうと思ったら、後ろは無理だ。


もし3箇所のどこかが当たれば。



それはきっと、運命だ。




絶対に前か隣になりたい、と思いながらクジを引く。



俺が引いた番号の席は……30番より遠かった。




「席どこだった?」



「オレ窓側の一番前だー最悪」



「俺逆だ。
廊下側の一番後ろ」




友達の誰かが安木の近くの席だったら交代してもらおうと聞いてみたら、孝弥が安木の隣の席だった。




「……孝弥!
俺と席交代して!」



「なんで?
まぁ、別にいいけど」