八木澤くんは不器用に想う




おかげでそれからも、不思議と安木さんをからかう言葉が出てきてしまって。



“安木さん”から“安木”と呼ぶようになったのは自然とそうなったけど、


いつまで経っても、“初”とは呼べなかった。



だって


俺が安木をからかうたび、安木がどんどん引いていくのがわかったから。






「八木澤くんがうざい」




安木の口からそんな言葉が出てくるようになってしまったのも、俺のせいだってわかってる。



今さら…消しゴムのことを言ったところで、安木の心が動くとも思えない。