八木澤くんは不器用に想う




たぶんそれ、名前書いてただけなのでは?



俺のことが好きとか…そんな意味じゃなかったんだ……。



心の中のガッツポーズは、あっという間にどこかへ消え去った。




「八木澤くん、って、呼んでもいい?」



「え、あっ。う、うん!」




完全に落ち込みモードに入りそうだったのに、突然隣から聞こえてきた俺の名前に、胸は高鳴るばかり。



ニコッて笑う安木さんは、やっぱりあの時の女神の笑顔と重なって。




やっぱりこの子が好きだ。




ただそんな気持ちだけが、じんわりと胸に広がった。