八木澤くんは不器用に想う





女の子の隣に、ゆっくり腰をおろす。



どうしよう。変な汗でてきた。



緊張で、下半身震えてんだけど。脚に力入んなくて立てないくらい。




俺のこと…覚えてる、かな?




「……あ、あの」



「は、はいっ?」



「俺と、会ったことありませんか…?」




なんだこの聞き方!ナンパかよ!?



消しゴムを出せば、すぐわかるのに…。




「……あ…
…すいません、わからないです」



「え……あ、そう、ですか…
気のせい、ですかね、アハハ……」




覚えて…ない。



……だよな。一回しか会ったことないし。