八木澤くんは不器用に想う





「すいません、ここ、俺の席…」




その子の横に立って、顔を上げた女の子と目があった瞬間。



心臓が痛いくらい、ドキドキと鼓動を速めた。




「……あっ!ごめんなさい!
隣でした…!!」




女の子は自分の持ってるプリントと椅子の番号を確認して、恥ずかしそうに隣の椅子に座った。



……嘘。俺の隣?


そんな偶然、あるんだろうか。



やばい…


なんか、泣きそうだ。



だって、


俺の隣にいる女の子は



受験の日からずっと、会いたくてたまらなかった子。



ずっと、恋焦がれてた相手だったんだから。