*怜央side





「……!」




安木が、泣きそうな顔で俺を睨んだ。


俺を押し退けて、階段を駆け降りていく安木。



追いかけようとしたら、後ろから手を掴まれた。




「怜央」



「……離せ」



「…あのね、本当に安木さんが言ったんだよ?
あたしは悪くない…」




花奈実が安木を叩いたことはわかった。


ただ、会話が聞こえたわけじゃなかったから、安木にも話を聞きたかっただけなのに…。



…安木が、あんなに傷付いた顔をするなんて。




「どっちが悪いとかは知らない。
今は安木を追いかけなきゃ」



「なんで?
安木さんは花奈実にひどいこと言ったんだよ?
追いかける必要ないじゃん」