１ヶ月後。私は、人気雑誌に載る為に撮影を行う事になった。


メイクと服装はお任せでと言われ悩みに悩む。


クローゼットを開くと、自分が所有している服達を何度もチェックする。


自分らしさが欲しい。
載る雑誌の色に合わせた物を取り入れたい。


それでもって、皆が着こなせるような服。


でも、そんな器用な事が出来る訳も無く、お気に入りのコーディネートを出して眠りについた。


自分では冷静だと思っていたが、かなり緊張していたのだろう。いつもなら、絶対目を覚まさないような時間に起きてしまった自分がいる。


なんとも言えない緊張感を感じているうちに、朝日が差し込み始めた。


約束の時間に合わせるように、メイクを施して行く。


数ヶ月までメイクの『メ』の字も考えられなかった私からすると、凄くくすぐったくて、変な感じがする。


しかし、とにかくメイクを練習していた為か思い通りに仕上がる。


言葉で伝えるなら、男に媚びないメイク。


用意していた服に着替え、待ち合わせ場所に向かう。まだ、朝と呼ぶべき時間で、通勤の為に電車に揺られている大人に混ざる。


今から仕事という事も関係しているのか、自分が大人と同じ位置に立てた気がした。