綺麗に整頓された玄関で靴を脱いで、りんの部屋に移動した。


りんの部屋も私の部屋と同じで、スッキリした感じで何処か女の子らしさを感じさせない。


「ねえ、るるちゃん!」
「ん?」
「今日はなんか食べた?」


そう言えば何も食べていない。


「ううん。まだ……」
「スープ温めるから、リビングに移動しない?」


何だかんだでお腹が空いている事に気付いて、コクリと頷くと、リビングに移動する。


りんが、ポトフの入った鍋を温め始めながら、下らない会話に花を咲かす。笑顔がこぼれた。


「熱いから、ちゃんと冷まして食べるんだよ!!るるちゃんが笑顔になってくれて嬉し……い……」


本当はヒロが居なくなったと理解した瞬間、自分も消えてしまおうなんて考えが脳裏を横切ったりもした。


でも、ヒロはそんな事を望むような人間では無いという事実が、私に変な行動をさせない。


それに、りんも私の事を心配しているじゃないか。


器に盛られたポトフが目の前に置かれ、スプーンに手を伸ばす。


こんな時でもお腹が空くんだな……。なんて思いながら、人参をすくい口に運ぶ。


暖かくて、美味しいのが心にまで染みる。