あの家には私の居場所なんて無いから__


家に入ると出来るだけ部屋から出ないようにして、気を使いながら用事をこなす。


願う事はこの生活から抜け出す事。


嫌な現実から逃げ出す為にイラストを書く事に没頭して、時間を過ごす。


眠くなれば、眠る事に逃げて、朝を出迎えた。


♢♢♢
学校に行くとユリカの元に向かったが、明らかに元気が無い表情が気になってしまう。


「ユリカ……。なんか、元気無いね……」
「うん……」


そう返事したユリカの目からは大粒の涙が溢れた。


「どうしたの!?」
「めぐがムカつくの!!」
「へっ?」


めぐというのは、うちのクラスのマドンナ的存在の女の子だ。


顔は綺麗な部類でショートヘアーが良く似合う、陸上部に所属している女の子。


勉強も出来て、運動も得意。


男女隔てる事無く人気な女の子という、イメージなのだが。


「めぐちゃんと何かあったの?」
「返事……」
「返事?」
「先輩に告白した返事が、めぐから伝えられたの!!」


可愛い顔をしわくちゃにして泣く、ユリカ。


ああ___


優太先輩とめぐは同じ陸上部。


分け隔てない性格のめぐは誰とでも、仲良くする性格。