ヒロに会える気がして、堪らない。


教室に着いたら、荷物を置いて屋上に走る自分は良い青春を過ごしている気がする。


屋上に続く扉を開く。
聞きなれた金属音。
秋の空。


何より嬉しいのは、そこにヒロが居て笑っている事だ。


「よっ!」
「よっ!」
「ヒロに報告!!私ね、文房具のCMに出る事が決まったの!!」


喜んでくれる。


そう思っていたのに、どこか切ない表情を見せたヒロに戸惑ってしまう。


「いいな……」
「うん!雑誌はお給料少ないけど、CMは結構貰えるらしいの!!」
「いいな……。働けて……」


あ__
ヒロは働きたいのに、仕事が貰えないと悩んでいた。


嬉しくて舞い上がっていたけど、こんな話はヒロに取ったら酷な話だ。


「ごめん……」
「うおー!!」


突然、奇声を上げるヒロに困惑してしまう。


「どうしたの!?」
「俺、中学卒業したら働きまくってるるちゃんの給料すぐに追い抜くからな!!」


いつもの、ヒロで安心する。


「うん……」
「そしたら、養うから覚悟しろよ!!」


そんな事言われたら、結婚するみたいで照れてしまう。
本当は悪態を付きそうになるくらい恥ずかしいが__