マネキン少女

見事、クマのキーホルダーと戦い切ったヒロを連れて屋上から出た。


お互いの教室に戻ると、少しだけ友達と喋る。


ユリカの席は、だいぶ前からただの空席だななんて考えている間にHRが始まり、騒がしかった教室が静かになった。


担任の下らない話。
つまらない授業。
外から聞こえてくる蝉の鳴き声。


なんの為に学校に行っているのだろうかなんて、考えてしまう私が存在するが、根が真面目なのか授業はちゃんと受ける。


昼休みにヒロと話して、学校が終わったら家に帰り自分の部屋に引きこもった。


週末になると土日のどちらかは、だいたいモデルの撮影。


最初は存在理由を探すために始めたが、今はしっかり自分が求める未来を理解している。


そんな毎日が繰り返されているうちに夏の暑さも和らいできて、過ごしやすい季節になった。


初めてヒロにデートに誘われてから1ヶ月半が過ぎたが、あれ以来学校以外では会っていなくて少し寂しい。


それでも、未来が有るから楽しく暮らす事が出来る。


そんな事を考えていたら、携帯が震えてメッセージを確認する。


『今、時間有りますか?』


それは、マネージャーからのメッセージで慌てて返事を返す。