マネキン少女

ヒロと2人っきりの時間は一瞬で、学校に登校し始めた生徒の姿がチラホラと見える。


「教室に帰らなきゃね……」
「そうだな!!」


ヒロにそっくりなクマのキーホルダーを、胸ポケットに入れる。


「あー!俺の分身め!!」
「へっ!?これの事?」


胸ポケットからおどけたクマのキーホルダーを出すと、ヒロが小刻みに震えている。


「俺の分身がるるちゃんの胸にぃー!!クマだからって許さねえぞ!!」


そう言ったかと思うと、キーホルダーを取り上げ1人で戦い始めた。


その様子はまるで、子供で笑いが止まらない。


でもさ。ヒロ。


君の全ての行動は私を笑わせる為の演技だったのかな?


私も、君に心配掛けたくなくて常に笑っていたから分かるよ。


私達の思考回路はそっくりだったのかも知れないね__


笑って、おどけて、茶化して。


お互いがお互いを笑わせようとしていたのかも知れないね。


ねえ、ヒロ。私達はもっと本音でむきあっていたら、先に待っている運命は違うものになっていたのかな。


ねえ、ヒロ。私は、君の真実から逃げていただけなのかも知れないね。


ねえ、ヒロ。君のおどけた表情が懐かしいよ。