気が付けば夏になり、暑さが鬱陶しい時期になっている。


額を薄ら汗ばませながら、学校の屋上に向かう。


「よっ!仕事はどう?」
「うん……。前に比べたらいい感じ……」
「るるちゃんは働けて良いな!俺、新聞配達しようとしたけど何処に行っても断られる訳よ!!」


そう言ったヒロは1ミリもおどけていないから、必死なんだと思う。


きっとヒロも私と同じ気持ちで、早く家を出たいんだ。


「ねえ、ヒロ……。私、お年玉とか貯めてるし、給料も少し貰ってるから中学高卒業したら家借りるよ!?」
「やだよー!」


ヒロなりに男のプライドが有るのだろう。


「そか……」
「卒業したら3.4ヶ月でお金貯めて、俺が借りるのー!それくらい、させてくれる?」
「うん……」
「あ、るるちゃんて明日時間ある?」


明日は土曜日で撮影の予定が入っている。


「明日は撮影だけど、明後日なら空いてるよ!!」
「まじ!?なら、日曜日にデートしない?」


デート。
その響きが嬉しくて堪らない。


「うん!何時に何処で待ち合わせ?」
「9時にるるちゃん家の近くの公園とかどう?」
「いいよ!」
「おっけい!!」