「………」


色々と問い詰めたいことは山々だけど、まずは美鈴を安静にしてあげることが大事だ。

わかってる。わかっているんだけども…。


「美鈴、自分で着替えられるか…?」

「むりぃ…」


制服のまま寝かすのは良くないよな。

横抱きしている美鈴は可愛く甘えるように、俺の胸に頬を擦り寄せている。

そんな美鈴の行動一つで緊張して理性が飛びそうになるから、俺って単純だな、と再認識した。


「……俺が着替えさせてもいいの?」

「…………いやだ…」


そして美鈴の言葉ひとつで胸がえぐられるように痛むから、本当に可笑しい。


「……着替えとってやるから、ベッドに腰掛けて。」

「うん…」


しんどそうに呼吸している。医者に連れて行かなくて平気だろうか。


「医者行くか?」

「だいじょーぶ…。知恵熱だと思うし…」


昔から知恵熱で寝込むことはあったけど、高校入ってからはなかった。


(……精神的に辛かったのかな)


だとしたら、目一杯、治るまで甘やかそう。