第4話




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「なんで平日の昼間なのにこんな行列できてるんだよ阿呆。」


「あの・・藪さん。声が大きいです。」


やって来た中華街。

椿さんのお気に入りだというタピオカミルクティー専門店 古茶に着いて、

既に多くの女性を中心に出来ていた行列の最後尾に並ぶ。


スーツをビシッと決めて、
黒のネクタイを締めて、

言葉遣いがちょっと悪いから取っつきにくい人かと思ったけど、

椿さんのリクエストに応えて律儀に並んでるから・・・悪い人じゃないのかな?



「小松アンナ。」


「あの・・毎回フルネームで呼ばなくても“小松”で大丈夫ですよ。」


「じゃあ小松。」


「はい。」


「お前代わりに並んどけ。
俺はクレープを買ってくる。」


「・・・はい。分かりました。」


私に押しつける・・・・と思ったけど、
律儀にクレープ屋さんの方向へ歩き出した。


・・・うん、悪い人ではないと思う。




「タピオカか・・・・・・。」


藪さんが行列を離れて一人になったところで、小さく独り言が漏れた。


刑務所に入ってる間にブームが到来していたようで、勿論私は飲んだことはない。


せっかくだから・・
自分の分も買おうかな・・。

椿さんへの“1人分”を買うつもりだったけど・・


「・・・・・・・・・。」


いや・・・やっぱり財布の中あんまり入ってないし、また今度にしよう。